問い
起きている間は悩みや不安がありますが、眠っている間はそれらから解放されています。
眠ると楽になるのは、本来の自分へ戻っているからでしょうか。
応答
たしかに熟睡中は、悩みを持つ「私」が現れていないですからね。笑
名前も、過去も、予定もない。自分についての説明が、ぜんぶ消えている。
だから、目覚めたあとには「楽だった」と感じますよね。
ただし、熟睡そのものを本来の自分と呼ぶと、少しずれちゃいます。
熟睡では苦しみがない代わりに、同時に、自由を知っている者もいません。
「私は解放されている」という認識さえない。
ということは、苦しみが消えている理由は、問題が解決したからではなく、
問題を抱える主体が現れていないからなんです。
ところが目覚めると、身体の感覚が戻って、名前や記憶が戻り、昨日の続きが始まって「主体」が再び組み立てられます。
その瞬間、主体に関する悩みも一緒に戻ってきます。
ここで見たいのは、眠っている間だけ本来の自分になり、起きると偽物になるということじゃなくて、
眠りも目覚めも現れて、変化する状態だということ。
悩んでいる私も、悩みのない熟睡も状態として現れている。
本来の自己は、そのどれかの状態ではなく、状態をも超えているものです。
眠りは、本来の自分へ一時的に戻るというより、「個人的な主体」と「それ以外のもの」に分かれる意識がなくても、
存在は消えないし、何も困らないことを見せています。

