物語・エッセイ– category –
人の心や意識を、物語と文章で描く。
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物語・エッセイ
雨宿りの雑談
「一番古い記憶は、たしか家だった」 彼はそう言ってからしばらく考え込んだ。 私たちは窓際の席に座っていた。店内には小さな音で音楽が流れている。 外は暗くなりかけて、激しい雨が地面をうちつづけていた。テーブルの上では、彼のほとんど手をつけてい... -
物語・エッセイ
カタルシス。悲しい映画を見ると心が軽くなる理由
映画館の暗闇の中で、何人かのすすり泣く声が聞こえる。 スクリーンの中では、一人の主人公が悲しみに打ちひしがれている。 私はその主人公のことを知らない。実際に会ったこともないし、一言も喋ったこともない。物語の中にしかいない人物だ。 ハンカチを... -
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探究が消えた直後
「真理探究という現象がこの世界から完全に消え去ったとき、真理は実現される」 これまで懸命に求め続けてきた「絶対意識」が、求めていた何かではなく、それそのものとして明らかになった。 実際にそれが起きると、正確にはもう二度と探すことができなく... -
物語・エッセイ
「あなたはすでにそれだ」と言われたのは、誰なのか
「あなたはすでにそれだ」 探究をしていた頃、この言葉に出会うたびに私は少し安心した。 探していたものは、ここにある。もう、遠くまで行かなくていいし特別な何かにならなくてもいい。これでようやく長い旅を終えられるような気がした。 けど、そのすぐ... -
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祝詞 喪失、おめでとう
明日の予定をどう組み替えるか考えていた。 その横で、もう一つの思考が勝手に始まった。 「ビンタと、ミルクティーを頭からかけられるの、どっちがいい?」 「は?どっちも嫌だ」 「選んで」 「ねえ、なんで私がそんな目に遭うの?」 まったく意味が分か... -
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私の探究遍歴 ② 身体が消えた朝
「なぜ真理探究をしたの?」 こう聞かれることがあります。 実のところ私は、自分が真理探究の道に入るとは思ってもいませんでした。 確かに小さい頃から不思議なことに想いを馳せたり、そういう出来事はありました。 小学生の頃、「地獄先生ぬ〜べ〜」が... -
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不滅の意識
閉館を告げるベルが、何度か鳴った。 窓の外は、ずいぶん暗くなっていた。 館内にいた人たちが本を閉じ始めた。読みかけの沈黙が辺りをつつむ。 伏せられた本はどれも、まだ誰かの途中を抱えたまま、机の上にそっと置かれていた。 出口へ向かうと、扉の前... -
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創世記 ④ 扉を叩く音【完】
何かを失う。 それは人かもしれない。 場所かもしれない。 これまで自分を支えていた未来への希望かもしれない。 失った直後は、そのことだけで頭がいっぱいになる。どうすれば戻せるのか。何が間違っていたのか。一体この苦しみは、いつ終わるのか。考え... -
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見つかっていないものを探しに
空中に咲く花があると言われても、たぶん誰も信じないだろう。 根も葉もないとは、まさにこのことだ。土に触れてすらいない。 こういう話は、すぐに「ないもの」として片づけられる。 だが、湖の底に、まだ見つかっていない巨大な生物がいると言われると、... -
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夢から覚めたという夢
朝、夢から覚めた直後。確かに見ていたはずのいつもの部屋が、急速に消えていくことがある。 どこか知らない町を歩いていた。たしか乳白色の机の引き出しを開けると、その向こう側には別の町があり、さらに奥の方に海がみえた。 空は薄い緑色で誰かの声が...
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