物語・エッセイ– category –
人の心や意識を、物語と文章で描く。
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物語・エッセイ
見つかっていないものを探しに
空中に咲く花があると言われても、たぶん誰も信じないだろう。 根も葉もないとは、まさにこのことだ。土に触れてすらいない。 こういう話は、すぐに「ないもの」として片づけられる。 だが、湖の底に、まだ見つかっていない巨大な生物がいると言われると、... -
物語・エッセイ
夢から覚めたという夢
朝、夢から覚めた直後。確かに見ていたはずのいつもの部屋が、急速に消えていくことがある。 どこか知らない町を歩いていた。たしか乳白色の机の引き出しを開けると、その向こう側には別の町があり、さらに奥の方に海がみえた。 空は薄い緑色で誰かの声が... -
物語・エッセイ
創世記 ③名前という契約
どこか懐かしいような、天井がある。 部屋のどこかから、一つの音が飛んできた。 「○○○」 そこにあったその身体が、わずかに震え、顔を動かした。 向こう側で、誰かの顔が笑っている。 すると、つられるようにその身体も口を大きく開いて笑った。 身体の奥... -
物語・エッセイ
悟ったはずなのに、また探す動き
「メガネがない」 あなたは慌てて、机の引き出しを開ける。 乱雑に積まれた雑誌をどかし、次に鞄の中を探る。そういえばと、昨日着ていた上着のポケットにも手を入れる。 「ない!」 メガネがないとメガネを探すことさえ難しい。ぼやけた視界の中で、部屋... -
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月と月の談。沈黙以前
「ねえねえ、ママ。どうして月が二つあるの?おかしいよ」 夜空には本当に月が、二つあった。ひとつは遠く、ひとつは近い。 だがよく見ると、片方の月だけがほんの少し遅れて動いているようにも見えた。 「あのね、あれはまったくおかしくないの」 母親は... -
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聖なるかな
夜明け前、ひとつの行進が始まった。 先頭を歩いていたのは、スーツ姿の男だった。 ネクタイは少し曲がり、片方の靴ひもがほどけていた。男は胸に白い花を抱いていた。花びらの先には、まだ露が残っていた。男はときどき目をこすったが靴ひものことには気... -
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創世記② 分離のはじまり
一台のメトロノームがある。 振り子は中央で止まっている。右にも行かないし、左にも行かない。まだ一度も音は鳴っていない。 このとき、最初の音はいつ鳴るのだろうか。一秒後だろうか。それとも、一分後だろうか。 いや、一秒も一分も、まだ始まっていな... -
物語・エッセイ
私の探究遍歴 ① トイレの花子さんと、心が世界に触れた日
探究のはじまりの記憶 あなたの一番古い記憶は、どのようなものでしょうか? はっきり覚えているものもあれば、曖昧なものとか、断片的にしか覚えていないものもあるでしょう。 私の場合、一番初めの強烈に残っている記憶は、記憶の映像というより、ただ... -
物語・エッセイ
創世記 ① 名前を持つ前のあなたへ
子どもの頃、私は親戚のおじさんにこんな話をしたことがあるらしい。 「人がなぜ鏡を作ったか教えてあげるよ」 大人になってから聞くと、当時の私はこんなことを言っていた。 「自分の後頭部だったり背中側の景色って、自分の目で見ることはできないよね。...
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