月と月の談。沈黙以前

「ねえねえ、ママ。なんで月が二つあるの?おかしいよ」 
「あのね、あれはおかしくないの。月と月が仲良くおしゃべりしてるのよ」 
「へぇーそうなんだ。おもしろい」  
「おもしろいでしょ。ふふふ」
「ふふふ」 

あなたがいるのは死後の世界。
あなたは人間であり意識。
意識であるから世界があって。
我があるから意識がある。
それでも、いずれは寿命が尽きて、
肉を離れて消えゆく意識。
そこに残るは、ただ無のよう。
でも、無ともいえぬ空のよう。
有かも無かも知らぬ世界。
あるとかないとか超えた世界。
定義不能の、空の世界。
あなたがいるのは生前世界。
すなわちそれは死後世界。
だけどもあなたは夢を見る。
期間限定、夢を見る。
かりそめ、命名、肉体、贈呈。
なんのためか?と、考える。
バトンリレーでつきつめる。
あるとき神があらわれた。
どういう理由か問い詰めた。
答えは沈黙、空の世界。
空さえ不要な空の世界。
ただただ、起きて理由はない。
なぜなら、それは定義不能。
仮に、少しでも、ほんの少しでも、
異物が入れば、「空」ではない。
想像が動けば、夢の中。
あらゆる形に、定義可能。
神さえ世界でただ起きた。
神さえあなたと意識のおかげ。
あなたを神と名付けるならば、
あなたも神も定義不能。
ただ、起きた。ただ、起きた。
まるで恋に落ちたかのよう。
なぜかはわからぬミステリー。
聞かれて言うなら、ただ落ちた。
それさえ夢で全自動。
あなたは
死後の「そこ」にいて。
あなたは
生前の「そこ」にいる。
どっちも同じ不変の世界。
増えない減らない不動の世界。
それが変わらぬあなたの正体。
誰も知れないあなたの本質。
それでもここは夢の世界。
心がそのまま現れる。
文字もこうして現れる。
見ることこうして起きつづける。
感情、思考、感覚、呼吸。
あれもこれもあなたの心。
あの子も彼もあなたの心。
バトンリレーのみんなの切望。
メモリー・リセット・即リスタート。
不思議な不思議なワンダーランド。
どんなジャンルも勢ぞろい。
天国地獄はここにあり。
起承転結、変幻自在。
とてもリアルにみえるけど。
フィクションだからゆるせる世界。
あなたがいるから成り立つ意味を、
あなたは決して知れないが、
あなたがいなくちゃ知れない仕組み。
承認欲求、完全回復。
意識のサブスクどれみよう?
そのうち飽きたら退会するか。
傷つく意識は退却させた。
失うものはなにもない。
記憶は消えても怖くない。
なぜなら記憶も夢のよう。
ただただ、存在しているだけで。
蜃気楼は彼方に消えた。
あなたは宇宙の見届け人。
宇宙の記憶の立会人。
それらが起きた真意がないのは。
生じて無いから仕方がない。
蜃気楼さえ蜃気楼。
いつでもセリフは台本通り。
作者と展開、一心同体。
創造、維持して、破壊がすめば。
タイムカード押し、お勤めご苦労。
家に帰ってシャワーを浴びれば。
ひとしずく涙が地面にポトリ。
三位一体、内に潜れば。
ハニーとベイビー共にあり。
至福のいただき最初で最後。 
久遠の安眠。ドラマは幕閉じ。

それでもあなたは依然と同じ。
ずっとずっと沈黙以前。
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